ルゥの麻雀戦術記 ルールと役と統計学

麻雀の統計学。実戦譜からデータを集計・検証し有用な麻雀戦術や戦略を検証・研究します。麻雀の基本ルールや手役集、ローカルルール、点数計算、積み込みによるイカサマなども配備。

麻雀戦術記

ペンチャンと浮き牌(孤立牌)

Q.、真ん中の孤立2牌の有効牌は38枚。
 これは  のようなペンチャンと比べてどうなのか?

枚数と待ちの有利
 など、トイツへの変化が6枚。
シャボ待ちがペンチャン待ちと比べて良いとは言えない。

 など、カンチャンへの変化が16枚
ペンチャンからカンチャンはあまり変わらない。
ここからさらに手変わりを待つのは遅すぎる。

 への両面待ち変化が16枚。
実に理想的、真ん中の孤立牌を持ってたのが功を奏した。
これなら  の8枚が有効牌。

真ん中の孤立牌を大事にするとピンフが付くし待ちも良い。
こういった理屈で、1p2pのようなペンチャンを落とすというような意見が大多数を占めます。

 のペンチャンは有効牌がたったの4枚で、
ここが最後に残るとピンフも付かないということで、ペンチャンを落とすのが基本 というのが通説。

こういう風に打っていた時期が私にもありました。
現在は、ペンチャン落としから孤立牌落としに打ち方を修正しています。

ペンチャンを外す風習

初心者の頃、ペンチャンは外すものと教わり、
ずっとそうやって来たのですが……

実際のところ、孤立牌よりペンチャン残しの方が優れている と思います。
理由としては、聴牌速度と他家への威嚇、そして安定性です。

孤立牌残しは有効牌が多いのですが、
 といったように和了までにかかるステップ数が増加します。

ペンチャンよりもハッキリと良い形(両面)になるのが 16/38(約42%)であり、
シャンポン、カンチャンになってしまったらペンチャン同様にピンフがありません。

1面子作るのにこのような2ステップをかけるのはスピードに遅れが出ますし、ペンチャンに比べシャンテン数も1増加。
加えて、上手くいくかどうか判らない変化待ちよりペンチャンの方が安定する。

孤立牌2枚というのは、両面に変化しなかったり、
孤立牌が片方繋がったらもう一方を捨てますが、それで裏めるケースも結構あり、
ペンチャンに比べて安定性に欠けています。

集計した際、 の状態から  引きの打 
その後、 の2牌を引いてくると言うような酷いものが結構出てきました。

以上から、私としては孤立牌を切ってペンチャンで勝負することをおすすめします。

これは  のような孤立牌の場合も同様です。
と両面待ちに変化する確率が高めになっていますが、
これは有効牌が少なくなることによる影響です。

有効牌の数が真ん中が重複する分減少し、両面待ちの確率が増加します。

この場合、有効牌が30枚(8枚減)となります。
両面待ちへ変化する確率は 16/30(約53%)となります。

ペンチャンや浮き牌が面子になる可能性
ペンチャン:約46%、面子が出来るのは平均8.78順目
浮き牌2枚:約43%、面子が出来るのは平均8.37順目( など最大効率での孤立牌面子確率)

これだけを見ると孤立牌の方が有利に見えてしまうかもしれません。
ペンチャン落としなら聴牌時の待ちが良い可能性が高いですし、ピンフも望めます。

しかしながら、浮き牌2枚はペンチャンと比べシャンテン数が1つ増加する弊害が発生します。
これが大きく響いてきます。

上記の結果は手配2枚+ツモ1枚という前提条件です。
14枚を使ってゲームをする通常の麻雀では話が違ってきます。

※ペンチャンと浮き牌の面子可否率 より
 実戦データ10局分を無作為に選択。
 ペンチャン6パターン、浮き牌2枚6パターン、
 10×(6+6)= 計120パターンで面子が出来た確率です。

※面子になる可能性は浮き牌が1枚 → 2枚となっても倍にはなりません。
 理由としては、 のような形で  を引いてきたら  捨てで  の形となり、
 2枚あるうちの片方、 の機能が損なわれるためです。

※実戦では他の面子の絡みもあり、
 上記の数値以上にペンチャン有利となっています。

※浮き牌2枚はペンチャンよりスピードが遅いです。
 上記の面子が出来る確率はペンチャンと浮き牌2枚だけという条件での結果。

 例えば、

 A.  ツモ

 B.  ツモ

 このようなA、Bのケースを比べた場合。
 ペンチャンや浮き牌の部分が完成する前に、他の有効牌を引いての聴牌があります。

 イーシャンテンのAとリャンシャンテンのBどちらが早いかは明白でしょう。
 上記に挙げた面子が出来るまでの速度はあくまでも部分の話となります。

真ん中の孤立牌を大事にするということは、
@.最終形の待ちが良くなる
A.ピンフが付く

という2点においてメリットがありますが……

@においては絶対という訳ではなく
Aにおいてもたかが1翻の役にすぎず、ピンフが付く場合符数が30符以下確定。

こんなところを大事にするよりも、
ペンチャン残しでスピードを重視する方が安定的。

イーシャンテンで聴牌の有効牌が7種類でも、来ないときは全然引けない。
わざわざ1面子どころか1両面を作るために両面変化4種類の牌を待つなど言語道断と言えます。

ペンチャン  のような場合、
そのまま手配に置いておくだけで  を引けば万々歳だし、
 引きで 、その後  引きで狙っても無いのに両面といったケースも考えられます。

リーチして裏が乗れば一気に化けることも珍しくない。

平山幸雄先生(通称ダメギ先生)も、
「かまわない、どんな形でも、まず張ることだ!」
という実に含蓄のある言葉を残しておられます。

シャンテン数と有効牌
かなり雑な例ですが、 を持っているところに  を引いてきた場合、
まさか打  とする人はいないでしょう。

有効牌の数で見ると  の方が多いですが、
こんな打ち方してたら和了できる手も出来ません。

手を作る際には、シャンテン数、牌の連続性、有効牌数などひっくるめて考えます。
ここでの打  はシャンテン数、牌の連続性の面から見ると良くありません。

ペンチャンを落としてもいいケース
鳴きタン や ホンイツを狙う際に邪魔になったり、どうしても高い手が必要だったり、
といったような条件付きのケースとなります。

また、手牌にまとまりがない場合もペンチャン落としはありです。

手牌が最終形に近づくほどペンチャンは残した方が有利。
逆に言えば、最終形から程遠い状態ならペンチャンを外すのもありと言うことです。

事例から見るペンチャン、孤立牌

実際に浮き牌が有効かどうか判りやすく説明します。

ex1. ツモ 

このケース、どう見ても  ツモ切りしかありませんね。
ここまで来てリャンシャンテンに戻す理由がありません。

ex2. ツモ さて、ここから を落としていけるのでしょうか? ツモ 2手かけて、さらにうまく が入ったとしてもこの形。 遅い感が否めない。 ペンチャンを残していれば、 ツモ 引きで雀頭の心配が消えるような変化も見込めます。
ex3. ツモ ex2から になって多少両面が作り難くなったケース。 くっつきが弱くなったものの最終的に一通になる可能性が若干アップ。 どちらにしろ 落とし。 ツモ ex2のケースも遅いが、ここまで行くとかなり厳しい。
ex4. ツモ 一通も狙えないようなケース。 ペンチャンや を落とすよりもまず に手を付けたい。
ex5. ツモ ここまで来るとペンチャン 落としもありそうに見えるが…… から2面子1雀頭を作る場合、 ペンチャンを落として、 のような形になってもあまり嬉しくない。
ex6. ツモ ここまでバラバラになった場合、もはやペンチャンも糞も無い。 ピンフ、チャンタ、タンヤオもきつそうなためトイツ系くらいしか活路が無さそう。 こういった場合は、ペンチャンを落としても全く問題ないだろう。
else. ツモ こういった手が入った場合、私は基本的に迷わずリーチするが、 このあたりの判断は人によって異なります。 競技麻雀で赤牌なしの場合には、 で、上記はリーチのみの糞待ち。 こんな手でリーチなんか出来ないと判断してもおかしくありません。 状況 や どのルールを基準として話すかによって、同じ人でも判断に違いは出ます。 例えば、ダントツのトップで上記の手牌なら私は親の連荘とドラだけ気をつけて高みの見物を決め込みます。 打 、状況打ちってやつです。 状況打ちなんて逃げ口上使って話をしても仕方が無いので話を戻しますが、 基本的にペンチャン糞待ちリーチは大正義。 ペンチャンが駄目なのはごく限られた場面のみ、 が場にあるようなレアケースだけと思っておけばいい。 ペンチャン外しで迷ったら浮き牌、孤立牌から処理していきましょう。 念のため書きますが、 この は孤立牌、浮き牌じゃねーですよ。 麻雀戦術記 TOP:トップページに戻る。

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